October 1, 1997

医療法人社団神農会

今日は医療法人社団神農会設立第１日目です。

このなになに会とするというのは決まりであって

医療法人はみんな会のつく名前をもっています。

医療法人の名称の第1候補は当然WALNUT GROVE会

(G.V. BLACK の聖地）で、

第2はLUND会（LUND先生より拝借）でした。

しかし、この二つは外国の固有名詞である、

という理由で断られる可能性が非常に高いと

前もって行政書士の方に言われていたため、

第3番目に用意したのが神農会でした。

神農会命名のいきさつは、

にどんな名前がいいか考えていた日、

昼を駿河台のイタリアンで食べ、

何気なく寄り道した湯島聖堂の傍らに

神農廟というのがあって、

ちょっといい感じがしたので、

その名前をお借りしたら、

都庁の診査員はこれにOKをだしたのです。

イカシカへの国費留学生であるバイトの達人

中国人の李くんに、

こういう名前にしたと教えてやると、

「中国人はそんな名前付けようとは思わないよ。

だって恐れ多いあるよ。」

と言いました。

神農（しんのう）。

中国古代の伝説の人。

三皇五帝のひとり。

その姿、人身牛首。

農耕と医薬の祖とされて

今でも人々に崇められている。

なるほどそうだったんですね。

偉いんですね。

だったら名前に恥じないようにしなくちゃね。

がんばろう。

午後、A-decという世界最大の歯科診療用チェアの

会社から副社長が来ました。

G.V. BLACK DENTAL OFFICEに入るなり、

「ここは私が行った世界中の医院の中でも、

環境は最高の部類に入ります。

清潔さでもベスト３にははいりますね。

もちろん日本では

相手になるところはないでしょう。」

このアメリカ人はLUND先生から、

G.V. BLACK DENTAL OFFICEのことを聞いて

日本で医療機器を売りたいということで

マーケットリサーチに来たついでに寄ったのです。

私の開業のお祝いかと思ったのに。

「感想は？」と聞くと

「まるで野戦病院のような診療所や

病院ばかりで、自分だったら

絶対にかかりたくないです。

うちのチェアとはイメージが合わないから

日本では本格的な営業はしないでしょう。」

と絶望していました。

イカシカにも寄ったけど、

１階の診療室を５分見ただけで、

どうでもよくなって、

逃げ出してきたのだそうです。

そして、

「ここは別ですよ。アメリカだから。

あなたもアメリカのドクターだしね。

こんど買い換えるときは

直接本社に電話してください。」

とちゃっかりセールスをしていきました。

G.V. BLACK DENTAL OFFICEに今ある３台のチェアは

全てアメリカから取り寄せたA-decです。

これは本当に良いチェアで

私の臨床の歴史はA-decのチェアとともにあります。

だから国産を買えば安くて機能がたくさんついたものが

いくらでも買えるのに、それをしないで

アメリカからわざわざ輸入したのでした。

副社長のジョンさんはお茶を飲んで帰ったけれど、

「日本にはもう来ない、すくなくともビジネスではね。」

と言いました。

悲しい話だけれど、

日本の歯科医療がひどいのは事実です。

ジョンさんは私をアメリカ人だと言ったけれど、

私は自分のことは生粋の日本人

だと思っています。

キリスト教徒ですが、

靖国神社や神田明神にもお参りします。

だから、そんなどうしようもない現実だけど、

がんばって変えていこう！

と思っている日本人が

少なくともひとりはいる

ということを忘れないでくださいね。

Thank you, Dr. Lee.

炎帝・神農像 - 湯島聖堂神農廟鎮座

虫歯治療,10/01/97

　Norman Yamazaki, DDS.