歯科用 水銀アマルガム アトピー
性皮膚炎 金属アレルギー 日本政府見解

by Norman Yamazaki, DDS. (Profile)

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平成13年10月15日 

(Q)質問本文 (A)答弁本文

歯科用水銀アマルガムに関する質問主意書

民主党参議院議員桜井充

 歯科用水銀アマルガム

(以下「アマルガム」という。)は、

主に銀、スズ、

銅から成る合金粉と

水銀を練和し、

主にう蝕治療のため

歯に充填する

歯科治療材料である。

現在、

アマルガムは

健康保険適用歯科材料

として認定されている。

アマルガム中の水銀量は

約五〇%と言われている。

水銀は、

毒物及び劇物取締法において

毒物に分類されており、

常温で蒸発し、

作業場の空気を汚染する。

また、

強熱すると有害な煙霧及び

ガスを発生する。

有害性については、

吸入すると有害で、

急性中毒として、

歯肉炎、肺炎、腎障害、

循環器障害など、

慢性中毒として、

歯肉炎、腎障害、聴力障害、

視野狭窄、精神障害

などが知られている。

 このような水銀の

有害性にかんがみ、

アマルガムによって

水銀中毒を生ずるか否か

について欧米の専門家に

よって討議されたことがあった。

その結果は、

アマルガムからの

水銀蒸気あるいは

水銀イオンの溶出は

微量であり、

急性水銀中毒あるいは

慢性水銀中毒を

生ずることはない

というものであり、

厚生労働省は、

これが歯科界における

通説であるとしている。

なお、

同時に水銀に対する

過敏症の既往歴のある

患者にはアマルガムを

使用しないこと等の

注意事項も喚起されている。

 しかし、アマルガムは

一九七〇年代ごろには

盛んに使用されていたが、

近年は使用量が減少している。

それは、

アマルガムより確実に

安全な歯科材料が

できたからである。

大学においても、

今やアマルガムについて

学ぶことは少ないという。

一方、

最近は歯科用金属

アレルギーが

注目を集めるようになった。

NHKや民間の

テレビ放送の中でも、

アマルガムに含有される

水銀による

金属アレルギーが

紹介されている。

アマルガムが

人体に悪影響を

及ぼす可能性を

持っているというのである。

 このような現状から、

国民にとって

アマルガムが必要なのか

どうか検討する

必要があると考えている。

そこで、以下質問する。

一 我が国において、

現在、

年間何本の歯牙が

アマルガム充填されているのか。

また、何人程度の患者が

アマルガム充填を受けているのか。

それらから推察して、

歯科治療現場において

水銀がどの程度

使用されているのか

明らかにされたい。

政府回答:

平成十二年社会医療診療行為別調査

によると、

平成十二年六月に

歯科用水銀アマルガム

(歯科アマルガム用合金等と

歯科用水銀をあわせて練和したもの。

以下「アマルガム」という。)

が充てんされた回数は

二十三万千六十回となっているが、

アマルガムが

充てんされた歯牙の

本数及びアマルガムの

充てんを受けた患者の数

については把握していない。

 また、平成十一年

薬事工業生産動態統計によると、

歯科用水銀の出荷量は

六十四万三千四百四十四グラム

となっており、

これに歯科アマルガム用

合金等に含まれる

水銀の量を合わせると、

平成十一年に歯科治療に

用いられた水銀の量は、

およそ七百キログラム

になると推定している。

二 アマルガムに含まれる水銀は、

我が国では毒物及び

劇物取締法で毒物に

分類されているが、

毒物を口腔内に

詰め込んでいる事実を認めるか。

政府回答:

アマルガムは、

毒物及び劇薬指定令

(昭和四十年政令第二号)

第一条第十七号の

「水銀化合物を含有する製剤」

に該当し、

毒物及び劇物取締法

(昭和二十五年法律第三百三号)

第二条第一項に

規定する毒物であるが、

耐久性及び操作性に

優れた歯科材料として

古くから世界的に

使用されているものであり、

平成九年に世界保健期間が

主催した専門家会議においても、

これまでの研究成果が

アマルガムは安全

であると報告されている

三 水銀は常温で気化し、

作業場の空気を

汚染するとされているが、

アマルガムに含まれる

水銀は口腔内で気化しないのか。

また、

アマルガムが、

咀嚼や歯磨きまたは

歯科において除去される際、

水銀蒸気を遊離する

可能性はないのか。

政府回答:

アマルガムは、

歯科アマルガム用合金等と

歯科用水銀を併せて

練和して歯牙に充てん

するものであり、

アマルガムが硬化する前に

患者の口腔内で

水銀が蒸気として

遊離する可能性はある。

 また、アマルガムを

充てんした者の

口腔内の水銀濃度は、

咀嚼を行った後の方が高い

との報告があることから、

咀嚼や歯磨きにより、

アマルガムから

水銀が蒸気として

遊離する可能性はある

と考えられる。

 アマルガムを除去する際に、

水銀が蒸気として

遊離する可能性があるが、

歯科医師が適切な技術により、

短時間のうちに注水下で切削し、

除去片と共に

吸引器で吸引することから、

患者が水銀を摂取する

可能性は低い

と考えている。

 水銀が蒸気として

遊離する可能性も

勘案した上で、

専門家会議がアマルガムは

安全であると

考えられると

報告していることは、

二についてで述べたとおりである。

四 水銀は皮膚から

吸収されて中毒を起こす

こともあるとされるが、

口腔粘膜からは吸収されるのか。

政府回答:

水銀が口腔粘膜から

吸収されるということは

承知していない

五 ヨーロッパ諸国において

アマルガムの使用を禁止する

動きがあるが、その理由は何か。

また、

実際に禁止されている

国はあるのか。

政府回答:

ヨーロッパ諸国において

アマルガムの使用を

禁止する動きがあること

及びアマルガムの

使用を全面的に禁止

している国があること

については承知していない

環境への配慮等から

アマルガムの使用を

制限している国がある

ことは承知している。

六 水銀は強熱すると

有害な煙霧及びガスを発生するが

火葬時に遺体の体内に

詰め込まれたアマルガムから

発生すると思われる有毒ガスが、

火葬場に勤務する

職員の健康を害する

可能性はないか。

また、

火葬場周囲の環境汚染に

つながる可能性はないのか。 

政府回答:

火葬場において遺体の

歯牙に充てんされていた

アマルガムから

発生したガスが原因で

労働災害が生じた事案

は承知していない

が、今後、火葬場に勤務する

労働者の健康を確保する観点から、

当該ガスによって

労働者の健康に

何らかの影響があるか

否かを検証することとしたい。

 また、平成八年に

改正された大気汚染防止法

(昭和四十三年法律第九十七号)

に基づき、

国及び地方公共団体では、

平成九年度から一般環境、

コンビナート等の

発生源の周辺及び

沿道において、

水銀及びその化合物に係る

環境モニタリングを

実施している。

これまでに調査した

延べ七百三十五地点における

大気中の水銀及び

その化合物の

濃度の年平均値は、

最大で一立方メートル

当たり五十ナノグラムであり、

世界保健機関欧州地域事務局

の大気質ガイドラインに

示されている指針値

(年平均値一立方メートル

当たり千ナノグラム)

と比較して十分低いものである。

 現在のところ、

火葬場から排出されるガス

によって

周辺の環境に汚染が

生じたという事案は

承知していない

が、今後とも、水銀及び

その化合物による

大気汚染の状況の

把握等に努めてまいりたい。

七 歯科においてアマルガムを

除去する場合、

歯科医院からの排水に

水銀が含まれるため、

環境が汚染される

可能性があるが、

政府はどのように考えているか。

また、

除去する際に生じる

アマルガム粉塵や、

水銀蒸気の吸入によって、

歯科医師の身体に

悪影響が出ると考えられないか。

政府回答:

公共用水域における

水質については、

水質汚濁防止法

(昭和四十五年法律第百三十八号)

に基づき総水銀に係る

常時監視が行われており、

平成二年度から

平成十一年度においては、

平成八年度に一地点で

環境基準を超えたときを除き、

約四千八百地点すべてに

おいて環境基準が

達成されている。

仮に歯科診療所等から

排水中に水銀が

含まれていたとしても、

総水銀に関して、

公共水域における

水質は保全されている

と考えている

 また、三についてで

述べたとおり、

アマルガムを除去する際は

吸引器による吸引が

行われることから、

歯科医師が水銀の粉じんや

蒸気として吸い込む

ことにより健康上の

影響を受けるおそれはない

ものと考えている

八 アマルガム充填のある小児は、

統計学的に有意に

アトピー性皮膚炎に

罹患しているという

報告があるが、

政府の見解を示されたい。

政府回答:

平成四年度から

厚生科学研究補助金

アレルギー総合研究事業等により、

アトピー性皮膚炎を

含めた免疫アレルギー疾患の

原因及び病態の解明

並びに治療方法の開発等に

関する研究を

行っているところであるが、

アマルガムの充てんと

アトピー性皮膚炎の

り患との間に

因果関係があるか

否かについては、

現時点では明らかではない

九 最近の歯科材料の研究に伴い、

アマルガムに代わる

歯科材料が登場している。

この際、

アマルガムの使用を禁止し、

危険性の少ない材料への

転換を図るべきである

と考えるが、

政府の見解を示されたい。

また、

使用を禁止しないのであれば、

なぜ必要なのか、

積極的理由を明らかにされたい。

政府回答:

アマルガムについては、

歯科材料としての有効性が

認められており、

歯科医師がここの患者の

特性を十分に考慮しながら

使用する物であることから、

現段階において

アマルガムの使用を

禁止することは考えていない

が、今後とも、

歯科材料に関する

情報収集など適切な

歯科医療の提供のための

施策の推進に努めてまいりたい。

以上

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